脳卒中と口腔ケア

こんにちは、院長の水野です。

今日は、「脳卒中と口腔ケア」について、お話をしたいと思います。

「脳卒中」とは、突然発症する脳血管の病気の総称です。

歯周病は血液疾患や呼吸器疾患のほか、全身にさまざまな影響を及ぼし、脳卒中との関連も注目されています。

歯周病やむし歯を放置することで、歯肉などの傷から菌が血管内に入り、心臓の弁に菌が付着すると感染症心内膜炎という病気になるだけでなく、その菌が血液を通して脳に流入し、細菌性の脳動脈瘤をつくることもあります。

また、歯周病は首の頸動脈の動脈硬化を引き起こす可能性も指摘されています。

脳卒中を発症後は、麻痺や筋力の低下で歯磨きが難しくなることも多くなります。

歯医者さんでの歯周病治療は、脳卒中の予防・再発を防止するうえでも重要になってきます。

気象の変化に関係があると病症の総称を「気象病」といいますが、脳卒中も実は気象病と無関係ではありません。

暑い夏はからだから水分が失われ脳梗塞、寒い冬は血圧の上昇で血管が切れやすくなる脳出血が起きやすいためです。

治療途中の歯がない方は、気候の穏やかな春と秋に定期健診を受診して、猛暑と寒冬に備えてもよいかもしれませんね。

入院時の口腔ケア

こんにちは、院長の水野です。

今日は、「入院時の口腔ケア」について、お話をしたいと思います。

入院中は、治療内容にもよりますが絶食をしたり、場合によっては酸素投与や人工呼吸器を装着することもります。

そうなると、唾液の分泌が減ってしまったり口の中が乾燥しがちになり、口腔内の細菌数が増えやすい状態になります。

入院中も十分な歯磨きができれば一番良いですが、難しい場合にはマウスウォッシュを活用しても良いかもしれません。

コンクールFという薄めるタイプのマウスウォッシュの活用方法をご紹介しますね。

歯磨き粉を使って歯磨きをした場合は口の中の歯磨き粉を除去するまでは中断できません。

マウスウォッシュであれば、薄めたものを紙コップに入れて、それを歯ブラシやスポンジにつけて(誤嚥防止のため水気は軽くとる)ブラッシングや粘膜ケアを行うこともできます。

また口の中の乾燥が気になる方は、マウスリンスやマウスジェルなどの口腔保湿剤を活用するのもよいでしょう。

ご自身でブクブグとうがいができたり洗面台まで行けるのでしたら、マウスリンスが良いと思います。

それが大変な場合は、口の中に塗ったり舐めたりするだけでOKなジェルタイプが良いかもしれません。

あらかじめ入院する予定がわかっている場合は、早めにかかりつけの歯医者さんで歯のクリーニングや虫歯治療をなさってください。

口腔がんについて

こんにちは、院長の水野です。

今日は、「口腔がん」について、お話をしたいと思います。

厚生労働省が公表した2022年人口動態統計月報年計によると、死因別で最も多いのは、がん(悪性新生物)の38万5787人で全体の24.6%でした。

そのうち、口唇や口腔及び咽頭がんで死亡したの人数は8,429人です。

また、肺炎での死亡者数は7万4002人で、そのうち誤嚥性肺炎は5万6068人でした。

歯科検診や歯のクリーングで歯科医院を訪れた際に、長引く口内炎や舌のできものを相談したところ口腔内のがんが見つかったという話は時々あります。

また誤嚥性肺炎は、口腔内を清潔にすることで予防につながります。

口腔内を清潔に保ち、健康な歯を多く残すことで将来の健康につながります。

しばらく歯科医院に行っていないと思ったら、一度、お近くに歯科医院を受診してはいかがでしょうか。

2024年2月22日 | カテゴリー : 予防歯科 | 投稿者 : smile_user

入れ歯のお手入れと肺炎予防

こんにちは、院長の水野です。

今日は、「入れ歯のお手入れと肺炎予防」について、お話をしたいと思います。

高齢の方にとって、口腔環境の悪化は誤嚥性肺炎を引き起こす原因となったり命と密接に関わってきます。

入れ歯を毎日清掃する方と比べて毎日清掃しない方では、肺炎発症率が高いという調査結果も出ています。

不潔な入れ歯を使い続けると入れ歯の表面に「デンチャープラーク」という細菌の塊が付着します。

この細菌が気管に侵入することで、肺炎を引き起こす原因となります。

入れ歯ケアについて、少しお話しますね。

入れ歯を磨く際は、入れ歯本体を傷つけないように歯磨き粉などは使用せず、丁寧に磨くをことを心がけてください。

就寝時は外して、洗浄液につけておくことをおすすめします。

一日一回程度、入れ歯の洗浄液につけることで、殺菌し清潔さを保つことができます。

入れ歯を外したあとは、ご自身のお口の中もしっかりケアをしましょう。

残っているご自身の歯はもちろん、歯肉や舌の汚れを落とすことも大切です。

歯周病と感染リスクについて

こんにちは、院長の水野です。

今日は、「歯周病と感染リスク」について、お話をしたいと思います。

ウィルスが口から粘膜へ侵入する際、口の中の細菌が侵入を手助けしてしまっていることがあります。

数ある細菌の中でも歯周病菌は特に強力で、歯周病菌の助けを借りて侵入したウィルスは増殖して様々な症状を引き起こします。

逆にいえば、ウィルス性の風邪やインフルエンザなどは、歯周病菌を減らすことで感染リスクを低下させることができます。

歯周病は、プラーク(歯垢)という最近の塊の中に潜んでいて、毎日しっかり歯磨きをしても完璧に除去することは難しく、口の中に蓄積されていきます。

日頃の歯磨きに加え、フロスや歯間ブラシなどを使うと除去率がUPします。

また、定期的に歯医者さんで歯のクリーニングを行い、セルフケアでは取り切れなかったプラークを除去すると良いでしょう。

特に、今年は全国でインフルエンザが異例の流行状況となっており、手洗いとうがいに加え口腔環境のケアも心がけてウィルス感染を予防したいですね。

歯周病について

こんにちは、院長の水野です。

今日は、「歯周病検査」について、お話をしたいと思います。

歯周病は歯の周りの歯周組織に炎症が起こる疾患です。

歯周病は、むし歯と並んで歯科の2大疾患と呼ばれ、歯を失う原因の約50%以上が歯周病を原因としています。

歯周病が進行すると「歯ぐきが腫れて痛い」「歯ぐきから血が出る」「歯がぐらついて食べ物が噛みづらい」「口臭が気になる」などの症状があらわれ、最後には歯を失ってしまいます。

歯周病は、歯周ポケット内のプラークや歯石が主な原因ですが、セルフケアによる歯石の除去は容易ではありません。

初期の段階では自覚症状が少ないため、定期的に歯の検診やクリーニングで歯医者さんへ行くことが早期発見につながり、適切な治療で進行を抑えることができます。

こちらは、歯周病のチェックリストです。

 □歯ぐきに赤く腫れた部分がある
 □歯ぐきがやせてきた
 □歯と歯の間にものが詰まりやすい
 □歯を磨いた後、歯ブラシに血がついている
 □歯を磨いた後、すすいだ水に血が混じることがある
 □歯と歯の間の歯ぐきが鋭角的な三角形ではなく、うっ血していてブヨブヨしている
 □歯が浮いたよう感じがする
 □指で触ってみて、少しグラつく歯がある
 □歯ぐきから膿がでたことがある

次のチェックリストで1つでも当てはまる方は、一度、歯医者さんで歯の検診を受けてみてはいかがでしょうか。

オーバーブラッシングについて

こんにちは、院長の水野です。

今日は、「オーバーブラッシング」について、お話をしたいと思います。

歯の汚れを落とすために強い力でみがいてしまい、歯や歯ぐきを傷つけてしまうことがあります。

2019年3月ライオンの調べによると約6割の人が歯磨きは「強く磨く派」であることがわかりました。

習慣的にオーバーブラッシングを繰り返すと、歯ぐきが下がる、歯ぐきが輪状に盛り上がる、歯の根元表面の一部が欠損するなどのトラブルが生じることがあります。

歯ブラシは軽く持ち、毛先が開かない程度の軽い力で小刻みに動かすにしてブラッシングをなさってください。

実は、汚れをいちばん落とせるのは毛先です。

汚れが残りやすい部位を強い力で無理に磨こうとせず、フロスや歯間ブラシなども併用してプラークを除去すると良いでしょう。

また、定期的に歯医者さんで歯のクリーニングを行うことで虫歯の早期発見や歯周病予防につながります。

ブラッシングの課題

こんにちは、院長の水野です。

今日は、「ブラッシングの課題」について、お話をしたいと思います。

ブラッシングの課題は何といっても「磨き残し」です。

磨き残しがちな部位を放置することで歯周病やむし歯の原因に繋がります。

磨き残しが多い部位には、「歯と歯の間」や「歯と歯ぐきの境目」などがあります。

「歯と歯の間」は、歯ブラシだけではプラークを除去するのが難しいため、歯間ブラシやフロスを利用するとよいでしょう。

「歯と歯ぐきの境目」は、歯ブラシの当て方をよく注意してブラッシングしたり、ワンタフトタイプブラシを使うのもよいでしょう。

他にも奥歯の裏、歯周ポケットやブリッジ、インプラントの周り、矯正用ブラケット周りなどもプラークが残りやすい部位です。

お子さんの場合は、奥歯の溝も丁寧に仕上げ磨きを行ってください。

磨き残しをゼロにするのはなかなか難しいことですが、磨き残しの多いリスク部位を意識するだけでもプラークの除去率は変わってくると思います。

また定期的に歯医者さんで歯のクリーニングを行うことで虫歯の早期発見や歯周病予防につながります。

セルフケアによる予防力の高め方

こんにちは、院長の水野です。

今日は、「セルフケアによる予防力の高め方」について、お話をしたいと思います。

簡単なものとしては、定期的に歯ブラシを新しいものに変えることです。

毛先が開いた歯ブラシは、プラークの除去力が大幅に下がってしまいます。

例えば、新品の歯ブラシを使ったプラーク除去率を100%とすると、毛先がかなり開いた歯ブラシでは60%くらいまで低下してしまうというデータがあります。

毛先が開いたり、毛の弾力性がなくなってきたら歯ブラシを交換してはいかがでしょうか。

ブラッシングのこつとしては、毛先を歯の表面にきちんと当てて、軽い力で小さく往復運動するとよいでしょう。

フロスや歯間ブラシなども併用すると、プラークの除去率がUPします。

また、定期的に歯医者さんで歯のクリーニングを行うことで虫歯の早期発見や歯周病予防につながります。

口腔ケアとメタボリックシンドローム

こんにちは、院長の水野です。

今日は、「口腔ケアとメタボリックシンドロームの関係」について、お話をしたいと思います。

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とは、内臓脂肪型肥満をきっかけに動脈硬化のリスクが相乗的に高まっている状態をいいます。

歯周病は歯にこびりついた「プラーク(歯垢)」にすみつく「歯周病菌」の繁殖によって起こる感染症で、歯の周りの歯肉に炎症を起こします。

歯周病が進行すると、歯槽骨が溶けて出血と共に歯がぐらつきはじめ、最期には歯ぐきがブヨブヨになり、噛むと痛みを感じます。

歯周病菌が歯ぐきで生じた炎症物質は、歯ぐきの血管から血流にのって全身に感染し、全身でさまざまな影響を起こすことがわかっています。

メタボリックシンドロームと歯周病の関連性について検討している久山町コホート研究によると、メタボリックシンドロームの5つの診断基準のうち陽性項目が4つ以上の人は、健常者に比べて歯周病のリスクが6.6倍に上昇していることがわかりました。

また歯周病の人はメタボリックシンドロームになりやすく、悪化しやすいこともわかっています。

歯周病とメタボリックシンドロームの関係は基礎・臨床研究の両側面から実証されてきているようです。

初期の歯周病は自覚症状がほとんどありませんから、厄介ですね。

毎日の歯ブラシに加え、定期的に歯医者さんへ行き検診と歯のクリーニングをすることをお勧めします。