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病気リスク、職業で差 運輸・通信に目立つ歯周病

集団健診のデータ解析から、職業によって病気のかかりやすさに違いがあることが明らかになってきた。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は農協などのサービス業で、歯周病は運送業や工場で働く男性に多い。仕事によって異なる生活習慣が、発症の要因になっている恐れがある。専門家は「適切に指導すれば予防できる。経営課題として対策を取る必要がある」と強調している。

 メタボ発症の業種間格差を調べたのは、福島県立医科大学の福島哲仁教授と日高友郎学内講師らだ。中小企業で作る全国健康保険協会(協会けんぽ)福島支部と協力し、2012年に同県で検診を受けた約12万人(男性7万4千人、女性4万6千人)のデータを18業種に分けて解析した。

■医療・福祉も高く

 福島県全体でメタボと診断された人の割合(有病率)を1とすると、農協などの複合サービス事業で働く男性は1.23倍、女性は1.28倍と最も高かった。また男性では運転が多い運輸業・郵便業(1.21倍)や学術研究・専門技術サービス(1.14倍)で、女性では医療・福祉(1.17倍)で比較的高かった。

 逆に男性では製造業が0.85倍、女性では卸売業・小売業が0.85倍と低かった。日高学内講師は、有病率が高いのは「デスクワーク中心で運動不足に陥りがちな業種。その傾向が鮮明になった」と話す。女性で医療・福祉が高いのは夜勤による不規則な食事や睡眠不足などが要因という。

■ストレスが影響

 岡山大学の入江浩一郎講師は愛知学院大学の嶋崎義浩教授らと共同で、職業ごとの歯周病の発症リスクの違いを調べた。名古屋市内で歯科検診を受けた3390人(男性2848人、女性542人)を、01~06年度の5年間追跡した。

コニカミノルタは職場ごとに専門スタッフの指導を受け健康増進を目指している

 厚生労働省の職業分類(1987年)で専門的・技術的従事者に当たる人の歯周病発症リスクを1とすると、男性では運輸・通信従事者が2.74倍と最も高く、次いで生産工程・労務従事者の2.52倍、販売従事者の2.39倍と続く。

 歯周病は口の中の細菌によって起きる慢性の炎症で、糖尿病や認知症などとの関連もあるとみられる。リスクが高い職種は長時間労働や精神的なストレスの高さなどが指摘されており、入江講師は「帰宅して歯磨きを簡単に済ませてしまう、歯石を除去したことがないなど、予防行動に差があるのでは」と推測。「職場で定期的な歯科検診と指導を取り入れれば改善できる」と訴える。

 女性の場合、歯周病の発症リスクに職業による差はなかった。男性に比べて口の中の衛生に注意を払う傾向が高く、差が表れにくいのではないかとみる。

 職業間で発症リスクを比較できるようになったのは、08年にメタボ対策として始まった特定健診・保健指導制度がきっかけだ。健診データの書式が全国で統一され、電子的に記録されるようになった。予防医学が専門の古井祐司・東京大学特任助教は「企業や地域に対し的確な保健指導ができるようになった」と手応えを感じている。

 ただし調査は各人の仕事の内容には踏み込んでおらず、リスクはあくまで統計値。全ての人に当てはまるとはいえない。

 日本では就業者の大多数が健診を受けるが、こうした国は珍しい。国民規模の検診データを解析できる強みを生かし、政府もデータに基づいた健康増進対策に力を入れる。古井特任助教は「分析できるデータを増やし、生活の質を確実に高められる予防策を打ち出したい」と話している。

(編集委員 永田好生)

[日本経済新聞夕刊2017年2月9日付]